遺伝子検査で発達障害・精神疾患はわかるのか?

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発達障害や精神疾患に関する遺伝子異常は、さかんに研究されていますが未だに臨床応用できるレベルにはなっていません。

しかし、海外から発達障害に関連する遺伝子異常の報告があったり、国内からもうつ病に対する遺伝子異常の報告があり、今後遺伝子検査が実用化される可能性は少なくありません

今回は、発達障害や精神疾患に関連する遺伝子検査や、今まで明らかになっている研究報告についてわかりやすくまとめます。

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発達障害とは

発達障害とは、脳の機能が成長段階に合わせてうまく発達しない病気をさします。

発達障害とひとことで言っても、病名としては広汎性(こうはんせい)発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の発達障害)、ADHD (注意欠如・多動性障害)、LD (学習障害)、知的障害などが含まれます。

発達障害の方は、病気によって精神発達障害、言語発達障害、運動発達障害などの症状があります。

発達障害の原因は未だに明らかになっていませんが、遺伝や栄養、環境汚染物質などさまざまな要因が指摘されています。 

発達障害は遺伝するか

以前は教育の仕方によって発達障害の子どもが育つと言われたこともあり、親を悩ませる要因になっていました。しかし、最近の研究では遺伝や環境汚染物質、腸内細菌などが原因になるのではないかと指摘されています。

発達障害が遺伝するかという点に関しては、まだ確実な答えは出ていません。

しかし、遺伝情報が全く同じといわれている一卵性双生児の場合に、1人が広汎性発達障害だと、双子のもう1人も約90%の確率で発達障害をもつということがわかっています。

また、異なる地域においても同じ確率(0.5-0.9%)で発達障害を発症することからも、環境よりは遺伝的要因の方が大きいのではないかといわれています。 

発達障害は環境要因が大きいと唱える医師もいる

発達障害は遺伝的要因が大きいという学説がある一方で、環境要因による影響が大きいとする医師もいます。現時点では決着がついていないので、どちらも間違っているとはいえません。

環境要因としてある説では、環境汚染物質であるダイオキシンや水銀、鉛、ポリ塩化ビニルなどが広汎性発達障害の原因になると考えられています。

そのため、一部のクリニックでは有害な貴金属を排出させ、脳に必要なビタミンやミネラルを補うことによって発達障害を治療する方法が行われています。

しかし、明確な根拠が確立されているわけではないため、保険適用もなく検査から治療まで全て自費ですし、発達障害が確実に治癒するとはいえません。

治療を希望する場合には、事前に医師によく相談するようにしましょう。

発達障害に関連する遺伝子の発見

2014年12月、世界的に権威のある科学雑誌「Nature」に、新たに12の発達障害に関連する遺伝子を特定することができたことをイギリスの研究チームが報告しました。

今回の研究は、イギリスが国をあげて取り組んでいるプロジェクトで、イギリス全土とアイルランド共和国を合わせた24の施設で1133人の深刻な発達障害をもつ子どもの2万個以上の遺伝子を解析した結果です。

新たに特定された遺伝子によって、発達障害の診断が可能になる子どもの割合が約10%増えるといわれています。新たに発見された12の遺伝子の中で、6つの遺伝子に関しては、正常な発達を乱すはたらきがあるのではないかと考えられています。

このプロジェクトは2010年に始まり、最終的には1万2000家族の遺伝子を解析することになっています。今回の発表は、目標の1割を終えたところの成果であり、今後の研究の続報が期待されます。

精神疾患に対する遺伝子検査

精神疾患の中で、統合失調症やうつ病などの原因となる遺伝子に関する研究はさかんに行われています。

発達障害と同様に、精神疾患に関する遺伝子検査も実用化には至っていませんが今までで明らかになっている報告についてまとめます。

統合失調症に関する遺伝子検査

東京大学からの報告では、神経細胞内にある「LINE-1」が統合失調症の患者さんにおいて増加していることがわかっています。

ヒトの遺伝子配列には、何度も繰り返される部分があり、その反復配列のことをLINE-1とよびます。LINE-1が増えると、神経活動に関わる遺伝子のはたらきに影響し、統合失調症などの精神疾患を発症させるのではないかと考えられています。

興味深いことに、今回の研究では遺伝因子だけでなく、環境因子でもLINE-1が増加することがわかりました。

すでに統合失調症の確実な遺伝因子として挙げられている22番染色体の欠失をもつ統合失調症患者さんを対象に、iPS細胞を用いてLINE-1の発現について調べたところ、明らかに増加していました。

また、発達期のマウスにウィルス感染などをさせて環境因子がどのようにLINE-1に影響するかみたところ、負荷を与えられたマウスにおいてLINE-1が増加することがわかりました。

今後、統合失調症の診断法や発症予防、治療法などに活用されるのではないかと期待されています。

うつ病に関する遺伝子検査

うつ病は日本人の約13人に1人が発症する精神疾患です。心の風邪といわれるように、誰でもかかる可能性があります。

一方で、家族や親せきにうつ病の方がいるとうつ病を発症しやすい傾向があるなど、遺伝的な要因も疑われています。

今までの報告から、うつ病の患者さんの血液を検査したところ、脳由来神経栄養因子(BDNF)が健常な方に比べて少ないことがわかっています。BDNFとは、記憶や神経細胞の発達に必要なタンパクです。

広島大学の研究チームは、うつ病の患者さんにおいてBDNFを作る指令を出している遺伝子が異常を起こしているのではないかと考え解析しました。すると、BDNF遺伝子のはたらきがうつ病の患者さんにおいて低下していることがわかりました。

うつ病は進行すると自殺を引き起こすこともあるため、早期診断・早期治療が大切です。今後、遺伝子検査によって早期診断が可能になることが期待されます。

まとめ

発達障害や精神疾患に関する遺伝子検査、最新の医学情報をまとめました。

発達障害や精神疾患に対して、実用的な遺伝子検査は行われていないのが現状ですが多くの研究に基づいて、近い将来臨床において実用化されることを期待したいです。

<参照サイト>

http://kcmc.jp/sinkei/hattatusyougai.html

http://sawada-mental-clinic.com/%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/

http://stressclinic.jp/autism/h_nagare.html

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25533962

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20140103.pdf

http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/koho_press/press/h2301-12/p_cjjlfa.html

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