結腸がんの再発を予測する遺伝子検査の有用性が証明される。

2016年6月に、日本の国立がん研究センターとジェノミック・ヘルス社の研究チームが、遺伝子検査によって結腸がんの再発の可能性を予測することができると発表しました。

今回の研究は、遺伝子検査によって結腸がん患者さん一人一人に対して最も適した治療方針を決められる可能性がある点で画期的といえます。

今回の研究の内容から今後の予想される展望までわかりやすくまとめます。 

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遺伝子検査「オンコタイプDXTM大腸がん検査」

オンコタイプDX検査とは、アメリカにあるジェノミック・ヘルス社が開発した遺伝子検査です。再発に関わる遺伝子がどれくらい発現しているかを検査し、がんが進行または再発する可能性を予測することができます。

具体的には、結腸がんで手術が行われた患者さんを対象に、切除したがんに12個の遺伝子がどれくらい発現しているか検査し、その発現量で個々人におけるがんの5年以内の再発リスクを計算します。

乳がん、結腸がん、前立腺がんで製品化されており、アメリカをはじめとする各国で個々人のがんの経過を予測するために使用されています。

オンコタイプDX大腸がん検査は、すでに海外では有用性を証明されていましたが、日本国内では今回の研究が行われる以前は検証されていませんでした。

結腸がんについて

今回の研究の対象となっているのは、厳密にいうと結腸がんのステージⅡ/Ⅲの患者さんです。研究の内容をよりよく理解するために、まず大腸がんの概要と結腸がんのステージ分類について説明します。

ひとことで大腸といっても、長さは約2mもあり、場所によって呼び方が変わります。肛門側から、直腸、S状結腸、上行結腸、横行結腸、盲腸、下行結腸です。日本人では、直腸がんとS状結腸がんが多いといわれています。

大腸がんは、50歳代から増える傾向にあり、高齢になるほど発症率が高いことがわかっています。近年、日本では食生活の欧米化などが原因で大腸がんの発症率は上昇しています。

大腸がんは粘膜の表面から発生しますが、徐々に大腸のかべに侵入し、治療が行われないとリンパ節や肝臓、肺など他の臓器に転移します。

ステージ分類は、がんの進行度やリンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無によって以下のように決められています。

<大腸がんのステージ分類>

ステージ0 : がんが大腸の粘膜内にある

ステージⅠ: がんが大腸の粘膜を越えて、筋肉の層まで達している

      リンパ節転移はない

ステージⅡ: がんが大腸の筋肉の層を越えて、外まで広がっている

      リンパ節転移はない

ステージⅢA : がんが大腸の筋肉の層内に留まっており、リンパ節転移が3個以下

ステージⅢB : がんが大腸の筋肉の層を越えて、外まで広がっている

リンパ節転移が3個以下

ステージⅢC: リンパ節転移が4個以上 (がんが筋肉層内か越えているかは関係ない)

ステージⅣ: 肺や肝臓など他の臓器への転移がある

      腹膜までがんが散らばるように転移している

遺伝子検査によって結腸がんの再発を予測

今回発表された研究では、2000年から2005年に日本国内の12カ所の病院において手術を受けたステージⅡあるいはⅢの結腸がん患者さん597人を対象に検査の有用性を検証しています。

手術で切除したがんに対し、オンコタイプDX検査を行い、12個の遺伝子の発現量を解析し再発リスクを計算しました。オンコタイプDX検査では、再発リスクを0-100点の再発スコアで評価します。

つまり、個々人のがんの遺伝子の発現量によって再発スコアは異なるということです。

今回の研究では、再発スコアが25点上昇すると、結腸がんが再発する危険性が約2倍になることが明らかになりました。

再発スコア0-29点を再発の可能性が低い低リスク群、30-40点を中間リスク群、41点以上を再発の可能性が高い高リスク群にわけて、手術後から5年後の再発率も推定したところ以下のようになりました。

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国立がん研究センター プレスリリースより引用)

 結腸がんのステージⅡに対しては、手術後に抗がん剤を用いた化学療法を行わないことが多いですが高リスク群では再発率が19%と低くないため化学療法を行うべきと考えられました。

一方で、通常手術後に化学療法を行うステージⅢの結腸がんにおいて低リスク群と高リスク群では再発率に大きな差があることがわかったため、化学療法を追加するかどうかは個々人のがんの遺伝子発現によって判断する方がよいことが明らかになりました。 

結腸がんのステージごとの再発率

今回の研究では、個々人のがんの遺伝子発現量によって同じステージでも再発率が違うことが示されましたが、今までのデータでは再発率はどのようになっているのでしょうか。

大腸がんにおいてステージⅠでは、早期がんなので手術によって切除できれば5年後の生存率は約90%と良好です。しかし、今回の研究で対象となっているステージⅡ以降の結腸がんにおいては、生存率は徐々に低下し、再発率は上昇していきます。

具体的に再発率で見てみると、ステージⅡでは約12%、ステージⅢAでは約23%、ⅢBでは約30%となっています。

しかし、これは結腸がんのステージごとの平均なので今回の研究でわかったように個々人で再発のリスクは異なるため治療法もそれぞれに合わせて選択した方がよいといえます。 

遺伝子検査によるテーラーメイド医療が可能に

今回の研究によって、国内の結腸がん患者さんにおいても遺伝子検査で個々人のがんの再発率が予測できることがわかりました。今までステージごとに治療方針を決めていましたが、遺伝子検査を利用すれば再発率の高い患者さんを対象に化学療法を行うことができます。

遺伝子検査の大きな目的の1つが、個々人に合ったテーラーメイド医療の実現です。個々人に合った治療を行うことができれば、治療による副作用や無駄な治療を減らすことも可能になるかもしれません。

今後の臨床での活用方法に注目しましょう。

まとめ

最新の国内の研究により、結腸がんの再発リスクが、「オンコタイプDX大腸がん検査」によって予測できることがわかりました。

切除した自分のがんを直接検査し、遺伝子発現量によって再発率を予測することができれば個々人に合ったテーラーメイド医療が可能になります。今後、結腸がんの遺伝子検査は副作用の多い化学療法をするかしないかを決定する判断材料になると考えられます。

日本では、測定する場合には保険適用ではないため約40-45万円かかるといわれています。今後、有用性が認められて保険適用になるかどうかが課題です。

参照サイト

http://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/res/yamanaka201606.pdf

http://www.qlifepro.com/news/20160628/colon-cancer-recurrence-risk-possible-for-each-patient-in-the-onco-type-dx.html

http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20160624.html

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/daicho/column/201304/529569.html

http://www.shinyuri-hospital.com/department/26_syoukakigeka/disease01.html

http://breast-cancer.oncotypedx.com/ja-JP/Patient-Invasive.aspx

http://www.genomichealth.jp/ja-JP/OncotypeDX/Product-Development-Phases.aspx

https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/hp/htdocs/dl/aboutus/kitei.pdf#search=’%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97DX%28TM%29%E5%A4%A7%E8%85%B8%E3%81%8C%E3%82%93%E6%A4%9C%E6%9F%BB+%E5%80%A4%E6%AE%B5

http://最先端医療.com/?p=61

http://katoclinic.info/cancer/digestive/stage/

http://www.jsccr.jp/forcitizen/comment03.html

http://www.ksiin.jp/colon8.html

http://home.nms.ac.jp/page/390.html

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