抗がん剤治療と遺伝子検査。検査の種類と活用のされ方。

抗がん剤と遺伝子検査

抗がん剤は効果があればがんを小さくし、生存期間を延ばす可能性がありますが、副作用が強く出て体に有害となることもあります。抗がん剤の効果を最大限に発揮させ、副作用はなるべく起こさないような治療の実現のために行われるのが遺伝子検査です。

今回は抗がん剤と遺伝子検査の関係、実際に医療現場で行われている検査の内容などについてわかりやすくまとめます。 

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遺伝子検査と個別化医療

昔の医療現場では、肺がんであれば誰に対しても、肺がんに効果があるとされている同じ抗がん剤が使用されていました。また、体重に合わせて薬の量は調整するものの、個人の薬の代謝能などは考慮していませんでした。

しかし、医療現場で働く医師達は抗がん剤治療をしていると、薬の効果がとても良く出る方とほとんど出ない方がいることに気づきました。また、同じ抗がん剤でも重症な副作用が出やすい方がいることもわかりました。

がんを小さくしようと抗がん剤を使用しているにもかかわらず、重い副作用のために命を落とすこともあります。個人個人におけるこのような違いは、がんの種類や薬の代謝能ではないかと考えられるようになりました。

例えば肺がんは、ひとことで肺がんといっても小細胞がん、腺(せん)がん、扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんなどのように種類が異なります。また、抗がん剤は肝臓や腎臓などで代謝されて体の外へ排出されます。薬の代謝の速度や能力は、個人によって大きく異なるので、抗がん剤の副作用の出方に差が出るといわれています。

近年、がんや抗がん剤に対する研究が進み、抗がん剤の効果を最大に出せるように、そして副作用を最小にするような治療を行うことが期待されています。遺伝子検査では、事前に抗がん剤が効きやすいがんであるかどうかを検査したり、副作用が出やすい体質であるかどうかを検査します。

このような遺伝子検査を用いたひとりひとりに合わせた治療法のことを個別化治療(テーラーメイド治療)とよびます。

遺伝子検査で何が分かるのか

遺伝子検査をすることによって、抗がん剤による治療効果が出やすいか、重症な副作用が出現しやすい体質か、などがわかります。

抗がん剤の効果や副作用は遺伝子20%、年齢15%、薬を代謝する酵素8%、性別5%、診断5%、その他47%によって影響を受けるといわれているので、実際に抗がん剤を投与してみないと体への明確な影響はわかりません。しかし以前に比べると、遺伝子検査により個人の体質に合わせた治療の実現に近づけていると考えられます。

従来の抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃してしまうので副作用が出ることが多くありました。しかし、最近抗がん剤の新しい種類である分子標的薬の登場により、がん細胞に発現している分子に的をしぼって攻撃できるようになっています。

従来の抗がん剤よりもがん細胞に標的をしぼっているので副作用が少ないのではないかと期待されていましたが、実際にはとても重い副作用が出ることがあるので投与は慎重な観察のもとに行われるべきと考えられています。

①EGFR遺伝子変異検査

EGFRとは、上皮細胞成長因子受容体のことです。肺のがん細胞の表面に存在しているEGFR遺伝子に変異がある場合には、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤が効きやすいといわれています。

EGFR遺伝子変異検査では、肺がん治療に使用される分子標的薬であるゲフィチニブが効きやすいかどうかの判断のためにがん細胞を調べます。

最近ではEGFR遺伝子変異のパターンが1種類ではないことがわかっており、肺がんに対する第2世代の分子標的薬であるアファチニブが効くタイプの遺伝子変異のパターンがあるのではないかと注目されています。

②K-ras遺伝子変異検査

大腸がんの分子標的薬であるパニツムマブ、セツキシマブはK-ras遺伝子の変異がない場合によく効くことがわかっています。

③UGT1A1遺伝子変異検査

イリノテカンは肺がん、大腸がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、精巣がんなどさまざまながんに使用される植物アルカロイドの抗がん剤です。分子標的薬ではありません。

イリノテカンは投与後、肝臓で活性化し細胞を殺す作用をもつようになります。その後解毒されて胆汁中に排泄されます。解毒に働く酵素がグルクロン酸転移酵素(UGT1A1)で、この酵素のはたらきには個人差があることがわかっています。

UGT1A1遺伝子変異検査で、遺伝子多形がある場合には薬剤の分解能力が低下するため重症な副作用である好中球減少などが起きるため別の抗がん剤を選択する可能性があります。

④ALK融合遺伝子検査

ALK 融合遺伝子は、最近発見されたがん細胞の増殖にかかわる遺伝子です。ALK 融合遺伝子は、がん細胞の増殖に関わるといわれており、肺がん治療における重要なターゲットと考えられています。ALK 融合遺伝子は、肺がん(非小細胞肺がん)の患者さんの約3-5%に認められます。また、たばこを吸わない患者さん、比較的年齢の若い患者さんにおいて認めることが多いといわれています。

ALK融合遺伝子検査で陽性の場合には、 ALKチロシンキナーゼ阻害剤という分子標的薬が使用されることが多いです。

⑤網羅的遺伝子検査

医療技術の向上により、遺伝子検査が早くできるようになったといっても1種類に対して2週間程度かかることもあります。網羅的遺伝子検査では、100種類前後であれば一気に調べることができ、2週間で結果が出ます。

また、がん関連遺伝子は約500種類といわれており、治療法選択に関わる遺伝子は約100種類あると考えられています。保険適用になっている遺伝子検査はわずかであり、保険適用外の遺伝子検査によってより効果のある抗がん剤を見つけることができるかもしれません。

このような目的で網羅的遺伝子検査が、北海道大学病院、京都大学病院、岡山大学病院などで開始されています。しかし検査の相談だけで3-4万円、24種類の遺伝子検査で約40万、160種類で約73万、210種類で約100万円なので簡単に検査はできないといえます。

また、網羅的遺伝子検査を行ったからといって最適な治療法が見つからないこともありますし、見つかっても保険適用外の抗がん剤である場合にはさらに医療費がかかることになるのでよく検討してから検査を受けるか決めた方がよいです。 

遺伝子検査の検査をどのよう行われ、活用されているのか

実際の臨床現場では、抗がん剤治療前に保険適用となっている遺伝子変異検査を行いがん細胞の種類や薬剤代謝能を調べます。

がん細胞にEGFRやALKなどの遺伝子変異があった場合には、効果が高いとされる分子標的薬を使用します。変異がない方に対しては分子標的薬を投与すると重い副作用が出ることもあるので、従来の抗がん剤の使用を検討します。

遺伝子検査を活用することによって、治療効果は最大に、副作用は最小にする治療を行うことができます。

まとめ

最近では、学会が推奨するがん診療ガイドラインにも遺伝子変異を認める場合の抗がん剤の使用方法が記載されるようになっており、遺伝子検査はがん診療において必須の検査と考えられていることがわかります。

遺伝子変異検査を抗がん剤治療前に行うことで、抗がん剤の効果や副作用についてある程度予測することが可能です。いくつかのがん治療に関連する遺伝子検査は保険適用となっていますが、今後十分な検討の後に患者さんにとって有用な遺伝子検査に対する保険適用の拡大が期待されます。

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