アレルギー体質に関連する遺伝子。人種や環境によって異なる?

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気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患は、近年増加傾向にあるといわれています。

アレルギーには、遺伝や環境、感染などが関与していると考えられていますが、未だに根本的治療が見つかっていないのが現状です。

アレルギーを発症しやすい遺伝子の変異はすでに多くの論文で報告されています。

今回は、アレルギー疾患と遺伝子についてわかりやすくまとめます。

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アレルギーと遺伝子変異

アレルギーとひとことでいっても、気管支喘息からアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどさまざまな病気が含まれます。

今までアレルギー疾患に関連する多くの遺伝子の変異が報告されていますが、なかには後から他の研究グループが検証すると重要な変異ではないことが明らかになることもあります。

その原因の1つとして、アレルギーは遺伝の影響だけでなく、環境の影響を大きく受けるので、結果が変わることが多いからではないかと考えられています。

また、人種によってアレルギーに関連する遺伝子の変異は異なるといわれており、国ごとに解析をする必要もあります。

今回は、喘息などのアレルギー疾患やアレルギー体質、食物アレルギーなどにおいてそれぞれ明らかになっている遺伝子の変異について解説していきます。

気管支喘息に関連する遺伝子

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気管支喘息に関連する遺伝子は、気管支の筋肉の収縮に関わるものやアレルギーの時に発生するロイコトリエンやインターロイキン4などの物質に関わるものなどが挙げられます。

白人の小児喘息に関しては、ORMDL3やPDE4Dなどの遺伝子変異が関連するといわれています。

他には、ヨーロッパ人におけるアトピー性喘息に関連するRAD50、アイスランド人における喘息に関連するWDR36、MYB、メキシコ人における小児喘息に関連するTLE4などがあります。

日本人を含むアジア人における小児喘息に関連する遺伝子は、ORMDL3、GSDMB、GSDMA、IL5、RAD50、IL13、HLA-DR/DQ、SMAD3などが明らかになっています。

しかし、他の民族で関連するといわれていたPEDE4D、TLE4、DENND1B、IL18R1、IL2RBなどの遺伝子とは関連がなかったことがわかっており、民族による差が認められています。

アトピー性皮膚炎に関連する遺伝子

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アトピー性皮膚炎に関連する遺伝子で、さまざまな研究で繰り返し証明されているものはフィラグリン遺伝子です。

フィラグリンは、皮膚の細胞から分泌されて、皮膚のバリア機能に関わっているといわれています。そのため、フィラグリン遺伝子に変異があると皮膚のバリア機能が低下し、アトピー性皮膚炎を引き起こしやすくなると考えられています。

日本人におけるアトピー性皮膚炎に関しても、フィラグリン遺伝子の変異が影響していることが明らかになっています。フィラグリン遺伝子は、喘息やアレルギー性鼻炎などの他のアレルギー疾患との関連も指摘されています。

アレルギー性鼻炎に関連する遺伝子

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アレルギー性鼻炎に関連する遺伝子は、ケモカイン受容体遺伝子や好酸球ペルオキシダーゼ遺伝子などが報告されています。

どちらもアレルギーの発症に関わる遺伝子で、変異がある場合にはアレルゲンへの感受性が高くなる傾向になります。

日本人のスギ花粉症に関連する遺伝子として、ケモカイン受容体遺伝子であるCCR1、CCR2、CCR3、CCR5、CCXCR1、CXCL10、CXCL11の変異が確認されています。

アレルギーを起こしやすい体質を決める遺伝子

日本とアメリカの研究チームにより、2009年にアレルギーを発症しやすいアレルギー体質の原因となる遺伝子が明らかにされました。

アレルギー体質に関連する遺伝子は、「Mina」とよばれ、アレルギー体質のマウスでは「Mina」の発現量が少ないことがわかりました。

「Mina」は、アレルギーに関わるインターロイキン4という物質の産生を抑制することによりアレルギーの発症を防ぐといわれています。

しかし、Minaの遺伝子に変異があるとインターロイキン4の産生が抑えられないので、アレルギーを引き起こしやすくなります。

病気のかかりやすさや薬の効きやすさは、個人の遺伝子の変異によって異なることがわかっていますが、アレルギー体質に関しても遺伝子の変異が関わっていることが明らかになり、今後ヒトを対象とした検証が行われることが推測されます。

卵アレルギーを起こさないニワトリの開発も行われている

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食物アレルギーにおいて、多くの患者がアレルギーを引き起こす原因となっている食材を五大アレルゲンとよびます。卵、牛乳、大豆、小麦、米の5つです。

日本の研究チームが、新しい遺伝子改変技術を使用し卵アレルギーを起こしにくいニワトリの開発に成功したことを2016年4月に報告しています。

今までニワトリにおいては、受精卵の遺伝子を操作することが難しいとされていましたが、新しい技術を用いることで、卵アレルギーの原因となるタンパク質の1種である「オボムコイド」を作れないように操作することができました。

新しい技術によってオボムコイドを作る遺伝子を壊し、その後成長したニワトリを調べたところオボムコイドの遺伝子がないことが確認されました。

また、オボムコイドの遺伝子がないニワトリ同士をかけあわせたところ、子どもとして生まれたニワトリにも同様に遺伝子が発現していないことを確かめました。

今後は、オボムコイド遺伝子をもたないニワトリの産んだ卵が本当にアレルギーを起こしにくいか、また卵の他の性質に悪影響がないかどうかなどが研究される予定です。

ピーナッツアレルギーの発症リスクに関連する遺伝子

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五大アレルゲンである卵、牛乳、大豆、小麦、米には入っていませんが、ピーナッツはアレルギーを起こした時に命に関わるようなショックを発症する可能性が高いといわれています。

今回の研究は、アメリカの研究チームによって行われており、約3000人の子どもとその親を対象に遺伝子を解析しています。

その結果、ピーナッツアレルギーはDNAの特定の変異とHLA-DR、DQの両遺伝子における変異が関連していることが明らかになりました。

ピーナッツアレルギーは、アナフィラキシーショックにより命を落とす危険が高いため、今回発見された遺伝子の変異がリスクが高い人を事前に判別するために役立てられることが期待されます。

まとめ

アレルギー疾患に関連する遺伝子は、今までも多くの研究で報告されていることがわかりました。

しかし、アレルギー疾患が遺伝子だけでなく環境の影響を強く受ける特徴があるため、研究結果にばらつきがでる可能性があるようです。

今後、各アレルギー疾患に特徴的な遺伝子の変異が特定され、臨床でアレルギー発症のリスクを早期に発見し、予防できるようになることが期待されます。

<参照サイト>

http://mainichi.jp/articles/20160407/k00/00m/040/093000c

http://www.nature.com/ncomms/2015/150224/ncomms7304/full/ncomms7304.html#affil-auth

http://jams.med.or.jp/symposium/full/126006.pdf#search=’%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC+%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90′

http://www.riken.jp/pr/press/2009/20090724/

http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/pubheal/allergy_genetics/information.html

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