遺伝とアルコール耐性。日本人がお酒に弱い体質である理由。

遺伝人種アルコール耐性

遺伝的にアルコールに弱い、または強いと聞くことがありますが、アルコール耐性に対して遺伝はどれくらい影響を与えるのでしょうか。また日本人は欧米人に比べてアルコールに弱い印象がありますが、実際はどうなのでしょうか。

今回は遺伝とアルコール耐性についてまとめます。 

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お酒を飲める人・飲めない人の遺伝的な違い

私たちがアルコールを飲むと、肝臓でアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに分解します。アセトアルデヒドは、がんを発生することもあるといわれるくらい体にとって有害なため、アルデヒド脱水素酵素によって無害な酢酸に分解します。

アセトアルデヒドが体内に蓄積すると、顔が赤くなったり、頭痛やめまい、吐き気などを引き起こします。飲酒後すぐの症状もそうですが、二日酔いといわれる飲酒した翌日の症状も、代謝されずに体に蓄積したアルデヒドによります。

アセトアルデヒド脱水素酵素の活性には遺伝子が関与していることがわかっており、3種類の遺伝子多型があります。

  • アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の活性が正常である人をNN型
  • NN型の1/16の活性しかない低活性型の人をND型
  • ALDH2の活性が完全に欠失している人はDD型

お酒を飲める人はNN型で、飲んでもコップ1杯程度ですぐに赤くなってしまう人はND型で、飲めない人はDD型と考えられます。

親はお酒に強く飲めるが子供は飲めない理由

先ほどの遺伝形式を考えると、両親が両方ともNN型の場合には子供の遺伝子型はNN型となり、お酒を飲めるようになります。しかし、親がND型同士だと子供は親から1つずつ遺伝子を受け継ぐので、NN型、ND型、DD型の全ての可能性があります。

そのため、親がアルコールを飲める体質でも、子供が飲めないという可能性もありますし、反対に親が飲めるのに子供は飲めないということも起こりえます。

日本人と欧米人のアルコール耐性の違い

日本人の方が欧米人よりアルコールに弱い印象があるかもしれません。しかし、これは遺伝的に考えると当たり前のことなのです。

なぜ日本人がアルコールに弱いかということを考える時には、人類の起源にさかのぼらなくてはいけません。はるか昔に人類は白人、黒人、黄色人種の三大人種に分かれたのですが、その後になぜか黄色人種の中にALDH2の活性を失った人が出現したといわれています。黄色人種は、モンゴロイドともよばれ日本人の祖先にあたります。ALDH2の活性を失ったのは突然変異と考えられています。

そのため黒人や白人にはALDH2活性が低いND型、または完全にないDD型はほとんど存在せずアルコール耐性があるのに対し、日本人はほぼ半数がND型かDD型なのでアルコールに弱いのです。

遺伝子型 酵素ALDH2のタイプ アルコール耐性 黒人/白人 モンゴロイド(日本人)
NN型 活性型 強い 100% 56%
ND型 低活性型 ほどほど 0% 40%
DD型 不活性型 弱い 0% 4%

参考:http://www.kirin.co.jp/csv/arp/fundamental/japanese.html

興味深いことに、モンゴロイドを祖先とする中国人やフィリピン人、タイ人などにもALDH2の活性が弱い、またはない人が存在します。最近では交通手段の発達により、国境を越えて人が移動するため、今後はALDH2活性の低い、またはない遺伝子型をもつ人がヨーロッパやアメリカなどにも徐々に増えるのではないかと考えられています。

体質以外でアルコール耐性に影響するもの

ではアルコールの飲める、飲めないには遺伝しか影響しないのでしょうか。そもそもALDH2活性のないDD型の人の場合には、アセトアルデヒドがすぐに体内に蓄積してしまうため飲めないことが多いですが、NN型とND型の場合には人によって飲める量が変わることがあります。

なぜかというと、アルコールの代謝には年齢や性別、体重など他の要因も影響するからです。一般的に年齢が上がるとアルコールに弱くなり、ホルモンの関係から女性の方がアルコールに弱いといわれています。体重に関しては、重い人の方がアルコールに強いことが多いです。

アルコールに弱い、強いはALDH2の遺伝子型によることがわかりましたが、アルコール依存症に関してはどうなのでしょうか。アルコール依存症は、アルコールをある程度飲めないとならないのでALDH2活性のある人がなる可能性が高いといわれています。

しかし、残念ながらアルコール依存症は環境などさまざまな要因が影響することもあり、決定的な遺伝子の特定には到っていないのが現状です。しかし、これまでの研究結果から、遺伝子情報が同じである一卵性双生児においてアルコール依存症を発症しやすいことやアルコール依存症の親をもつ子が養子に出されて全く違う環境になってもアルコール依存症になる確率が高いことがわかっており、何らかの遺伝子が関与しているのは証明されています

訓練で(鍛えて)ある程度飲めるようになる理由

時々、訓練で鍛えたからお酒が飲めるようになったという人がいますが、本当はどうなのでしょうか。基本的に、ALDH2の活性は生まれた時から決まっているので、訓練で鍛えられることはありません。活性が完全にないDD型の人は、いくら頑張ってもアルコールを飲んだらすぐに気持ち悪くなってしまうはずです。

しかし、ND型の人の場合には、アルコールを飲んでいるうちに以前より量を飲めるようになったと感じることもあるかもしれません。ND型の人は、最初はほとんど飲めない状態でも、飲酒の機会が増えるごとに徐々に強くなっていく可能性があります。

これはALDH2の活性が高まっていくからと考えられています。またALDH2の活性上昇に伴い、肝臓の代謝酵素の活性も上昇することも関与するといわれています。

ただし、飲めるようになったからといってアルコールを毎日飲むのは体にとってよくありません。アルコールは生活習慣病やがんだけでなく、認知症などのリスクともいわれています。

まとめ

今回は、遺伝とアルコール耐性に関してまとめました。アルコール代謝に関わる遺伝子型は3パターンあり、ALDH2活性が正常、低い、または全くないタイプに分けられるようです。日本人はモンゴロイドを祖先としているため、遺伝的に約半数の人がお酒に弱いことがわかりました。

ALDH2活性の低いND型の人はお酒を飲む機会が多いと強くなる可能性はありますが、自分に合った適量のアルコールを楽しむのが賢明だと考えられます。

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2016.06.04

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